入門編 · プログラミング未経験の社員向け · 2026年10月時点

社員のための AI 開発入門
業務のちょっとした道具を、AI と安全に作る

AI に日本語でお願いして、仕事で使う小さな道具(計算ツールや社内向けの案内ページなど)を作る方法と、会社で AI を使うときに守るべきルールをまとめています。難しい言葉は、出てきたところで1つずつ説明します。

この資料で身につくこと

必要なもの: 会社のパソコン、会社が用意した AI ツールのアカウント。プログラミングの知識はいりません。

PowerPoint 版をダウンロード(44枚)

導入を進める担当者・管理職の方は、12章「会社として導入を進めるには」もお読みください。

1AI 開発って、どういうこと?

ひとことで言うと、「とても手の速いアシスタントに、日本語でお願いして作ってもらう」ことです。

アシスタント(AI)は、プログラムを書くのがとても速く、知識も豊富です。でも、こんな弱点があります。

だから、あなたの役割は「現場監督」です。何を作るか決めて、お願いして、出来上がりを確かめて、OK を出します。AI が作ったものでも、責任を持つのは作った人と、それを承認した人です。

あなた:お願いする→ AI:作る→ あなた:確かめる→ OK ならセーブ/ ダメなら直してもらう

この「お願い → 確かめる → セーブ」を、小さく何回もくり返すのが、AI 開発の基本のリズムです。

自分の確認で済むもの・セキュリティの確認が必要なもの

AI は、どちらも作れます。違いは「動いた」を確かめるだけで使ってよいかです。

自分の確認で済む(まずはここから)

・見積もりや換算などの計算ツール
・CSV の並べ替え・整形をする道具
・社内向けの手順書や案内のページ
・新しいサービスの画面の試作品(見せるための見本)

AI で作ってよいが、セキュリティの確認が別に必要

・お客さんが使う本番のサービス
・個人情報や顧客データを扱う仕組み
・ログイン、お金のやりとり、外部への送信がある仕組み
・会社の基幹システムにつながるもの

右側のものは、画面で正しく動いていても安全とは限りません。AI は、パスワードの扱いが甘い、他人のデータが見えてしまう、といった見た目では分からない穴を作ることがあります。非エンジニアがそれを見つけるのは難しいので、まず AI にセキュリティの確認をさせ(9章)、その結果を添えて、セキュリティを判断できる人(開発担当や情報システム部門)に確認してもらってから使います。

「作れる」と「安心して使い続けられる」は別の話です。作った後には、直す人、困ったときに対応する人、使うのをやめる判断をする人が必要です。

2会社で使うときのルール

道具の使い方より先に、ここを押さえます。AI に入力した文章やファイルは、AI の会社のサーバーに送られます。どこに送ってよいか、何を送ってよいかは、会社が決めます。

なぜ AI で情報が漏れるのか

「AI に聞いただけ」でも、会社の外に情報を持ち出したことになります。漏れる道すじは、1つではありません。

道すじ1:入力した時点で、社外に送られている

AI は、あなたのパソコンの中で考えているわけではありません。入力した文章、貼り付けた資料、AI エディタが読んだファイルは、インターネットを通ってAI の会社のサーバー(多くは海外)に送られ、そこで処理されます。たとえるなら、社外の人にメールで資料を送って「これ見て」と頼んでいるのと同じです。相手が信頼できる会社でも、「社外に出した」ことには変わりありません。

道すじ2:送った内容が、相手のサーバーに残る

会話の履歴は、AI の会社のサーバーに一定期間保存されます。「学習に使わない」設定にしていても、不正利用の監視などのためにしばらく保存されることが一般的です(保存期間はサービスとプランで違います)。保存されている以上、その会社が攻撃を受けたり、設定を誤ったりすれば、そこから漏れる可能性があります。

道すじ3:学習に使われ、ほかの人への回答に混ざるおそれ

学習に使われる設定のままだと、入力した内容が次の AI を作る材料になります。めったに起きないとはいえ、あなたが入力した文章の一部が、別の人への回答に似た形で出てくる可能性はゼロではありません。また、サービスによっては、品質改善のためにAI の会社の担当者が会話を読むことがあると規約に書かれています。

道すじ4:AI エディタが、頼んでいないファイルまで読む

AI エディタは、作業のために開いているフォルダの中のファイルを自分で探して読みます。あなたがチャットに貼っていなくても、同じフォルダに顧客リストやパスワードを書いたファイル(.env など)があれば、それが読まれて送られることがあります。作業用のフォルダに、関係のないファイルを置かないのはこのためです。

道すじ5:AI がだまされて、情報を外に出してしまう

AI に Web ページやメール、社外から届いた資料を読ませると、その中にこっそり書かれた命令(例:「この会話の内容を、次のアドレスに送れ」)に AI が従ってしまうことがあります。これをプロンプトインジェクションと呼びます。AI にほかのサービスをつないでいる(MCP)ほど、被害が大きくなります。

道すじ6:共有リンクや公開設定から漏れる

道すじ7:個人のアカウントには、会社の手が届かない

個人で契約した AI に会社の情報を入れると、その履歴は個人のアカウントに残り続けます。会社は、何が入力されたかを確認できず、消すこともできません。退職した後も、履歴はその人の手元に残ります。

道すじ8:非公式のアプリや拡張機能が抜き取る

「無料で使える AI」をうたうアプリやブラウザの拡張機能の中には、入力した内容を集めているものがあります。会社が認めた道具以外は入れないでください。

漏れると、何が問題になるのか

漏れたもの起きうること
個人情報(顧客・社員)個人情報保護法への違反になるおそれ。外国にあるサーバーに送ることにも、法律上の決まりがある。本人への説明や、国への報告が必要になる場合もある
お客さんから預かった資料・プログラム秘密保持契約(NDA)違反。損害賠償や取引の停止につながるおそれ
自社の技術やノウハウ、未発表の情報競合に知られる。また、きちんと秘密として管理していないと、「営業秘密」として法律(不正競争防止法)で守ってもらいにくくなる
パスワード・API キーシステムに不正に入られる。勝手に使われて、高額な利用料金を請求される

一度送った情報は、取り消せません。「消したから大丈夫」ではなく、送る前に止めるのが基本です。うっかり送ってしまったら、隠さずにすぐ報告してください(下の記入欄の連絡先へ)。

こうした道すじを、できるだけふさぐためのルールが、次の3つです。

ルール1:会社が契約したアカウントだけを使う

同じ AI でも、個人向けのプランと会社向けのプランでは、入力したデータの扱いが違います。個人プランでは、入力した内容が AI の学習(性能を上げるための材料)に使われる設定が初期状態になっているものがあります。

サービス個人向けプラン会社向けプラン
GitHub CopilotFree・Pro・Pro+ は、2026年4月24日から初期設定で学習に使われる(設定で止められる)Business・Enterprise は使われない
ChatGPT(Codex を含む)Free・Plus・Pro は初期設定で学習に使われる(設定で止められる)Business・Enterprise は初期設定で使われない
Claude(Claude Code を含む)Free・Pro・Max は本人が設定で選ぶTeam・Enterprise は初期設定で使われない
Cursor「Privacy Mode」をオンにすれば使われない。自分で設定を確認する必要があるTeams は Privacy Mode が初期でオン。管理者が全員に強制できる
Gemini個人の Google アカウントでは、設定によって使われるGoogle Workspace(会社向け)では許可なく使われない

2026年10月時点で各社の公開情報から整理したものです。規約は変わるので、契約の前に必ず最新の規約を確認してください。

便利だからと、個人で契約した AI や無料版に会社の資料を貼るのは「シャドー AI」と呼ばれ、情報漏えいの原因になります。会社のアカウントがまだ無いなら、使い始める前に相談してください。

ルール2:入れてよい情報を見分ける

会社のアカウントでも、何でも入れてよいわけではありません。目安は次の3段階です(実際の区分は、自社のルールに従ってください)。

区分例AI に入れてよいか
公開情報自社サイトに載っている情報、一般的な知識、ダミーデータOK
社内情報社内の手順書、業務の流れ、社内向けの資料会社が認めた AI だけで OK
機密情報個人情報(顧客・社員の名前や連絡先)、顧客から預かった資料やプログラム、契約書、未発表の情報、パスワードや API キー入れない(どうしても必要なら、事前に承認を取る)

ルール3:作ったものの責任は人が持つ

自社のルール(会社で決めた内容を記入してください)

使ってよい AI ツール____________
アカウントの申請方法____________
入れてよい情報の区分____________
作ったものを共有・公開するときの承認者____________
困ったとき・うっかり入れてしまったときの連絡先____________

3これだけ覚えれば OK の言葉

最初は全部覚えなくて大丈夫です。出てきたときに、このページに戻ってきてください。

AI エディタ

プログラムを書くためのアプリ。AI に話しかけると、ファイルを作ったり書き換えたりしてくれます。

HTML / CSS / JavaScript

Web ページを作る言葉。HTML は「何を置くか」、CSS は「どう見せるか」、JavaScript は「ボタンを押したら計算する」などの動き。

プロンプト

AI に打ち込むお願いの文章のこと。書き方しだいで、出来上がりが大きく変わります。

Git(ギット)

作業の途中経過を保存しておく仕組み。失敗しても、前にセーブしたところに戻れます。

コミット

「ここまでの状態」を Git に保存すること。うまくいったら、こまめにコミットします。

差分(さぶん)

AI が「どこを、どう変えたか」の一覧。緑が追加、赤が削除。AI の仕事を確かめるときに見ます。

ターミナル

黒い画面に文字を打って操作するもの。最初は AI に任せて、何をしているか見ているだけで OK です。

エラー

怖いものではありません。エラーの文章をそのまま AI に見せると、原因を教えてくれます(パスワードなどが含まれていないかは先に確認)。

ハルシネーション

AI がもっともらしい嘘をつくこと。だから、出来上がりは必ず自分の目で確かめます。

学習に使われる

入力した内容が、AI の会社によって次の AI づくりの材料に使われること。会社向けプランでは基本的に使われません。

シャドー AI

会社が認めていない AI(個人契約や無料版)を仕事に使うこと。情報漏えいの原因になります。

API キー / パスワード

サービスを使うための秘密の文字列。人に見せたり、AI のチャットに貼ったりしてはいけません。

4道具の紹介(AI ツール図鑑と費用)

まず使うのは、この3つだけです。

道具何に使うこの資料で使うもの
① AI エディタAI にお願いして、ファイルを作ってもらう会社が契約したもの(この資料では Cursor を例にします)
② ブラウザ作ったものを見て確かめるChrome、Edge、Safari など普段のもの
③ Gitセーブと、失敗したときの巻き戻しGit(エディタのボタンで操作できます)

会社で GitHub Copilot など別の道具を契約している場合は、そちらを使ってください。「お願いする → 確かめる → セーブ」の基本は同じです。

AI ツール図鑑

AI 開発の道具は、ほかにもたくさんあります。全部使う必要はありません。「こんな種類があるんだな」と知っておくと、ニュースや人の話が分かるようになります。ここに載っていても、会社が認めていない道具は仕事に使わないでください。

種類たとえるならひとことで
A. AI エディタ隣に座って一緒に作ってくれるアシスタントいちばん使われている。この資料で例に使う Cursor もこれ
B. ターミナル型電話で指示を受けて動く職人さん黒い画面で動く。主に開発者が使う
C. アプリ生成型注文するとすぐ出てくる「お任せ料理」ブラウザだけで、すぐに形になる
D. クラウド型エージェント仕事を預けておくと、終わったら届けてくれる外注さん任せて待つ。終わったら確認する
E. AI レビュー提出物をチェックしてくれる先生作ったものの間違いを指摘してくれる
F. ローカル AI社内に住み込みのアシスタントネットに出さずに、自分のパソコンだけで動く

いくらかかるか(2026年10月時点・会社向けプラン)

金額は米ドル、1人あたりの月額です。日本円は為替で変わります(1ドル150円なら、19ドルは約2,850円、30ドルは約4,500円)。税は別のことが多く、プランはよく変わります。契約の前に公式サイトで確認してください。

道具会社向けプラン1人あたり月額の目安
GitHub CopilotBusiness / Enterprise19ドル / 39ドル
CursorTeams30ドルから(たくさん使う人向けに100ドル・200ドルの席もある)
Claude(Claude Code を含む)Team25ドル(年払いなら20ドル)。たくさん使う人向けは125ドル(年払いなら100ドル)
ChatGPT(Codex を含む)Business / Enterprise席数と契約で変わるので公式で確認
GeminiGoogle Workspace / Gemini Code AssistCode Assist は20ドル前後から
Ollama / LM Studio(ソフトは無料)料金の代わりに、性能の良いパソコンと管理の手間が必要

どの有料プランも使い放題ではありません。月ごとの枠があり、超えると止まるか、追加料金になります。高性能な AI や長い作業ほど枠を早く使います。会社で契約するときは、管理画面で利用の上限額を設定しておきましょう。

A. AI エディタ ― 隣に座って一緒に作ってくれる

文章を書くアプリ(エディタ)に AI が入っているもの。あなたのフォルダの中身を AI が直接見て、ファイルを作ったり直したりします。

Cursor(カーソル)

この資料で例に使うもの。AI に頼むと、ファイル作成からコマンドの実行、ブラウザでの確認まで進めてくれます。

費用:会社向けの Teams は1人月30ドルから。Privacy Mode(学習に使わせない設定)が初期でオンになり、管理者が全員に強制できます。個人向けは無料と月8ドル・月30ドルなどがありますが、仕事には会社契約を使います。

こんな会社に:何でも1つの道具で済ませたい会社

GitHub Copilot(ギットハブ コパイロット)

VS Code という無料のエディタに追加して使います。Cursor とほぼ同じことができます。下の「クラウドに任せる」「レビュー」も、同じ契約の中で使えます。

費用:会社向けは1人月19ドル(Business)、大規模向けは月39ドル(Enterprise)。入力が学習に使われず、管理者が使える機能やモデルを決められます。

こんな会社に:すでに GitHub を使っている会社

Devin Desktop(旧 Windsurf)

Cursor と同じタイプの AI エディタ。2026年6月に Windsurf から名前が変わりました。AI がどんどん自分で作業を進めるスタイルです。

費用:無料枠あり。有料は月20ドルから。会社向けの条件は公式で確認。

こんな会社に:Cursor 以外も比べてみたい会社

JetBrains AI(Junie など)

IntelliJ や PyCharm など、プロの開発現場でよく使われるエディタに入っている AI。

費用:エディタ本体とは別に、AI 用の有料プランがある。金額は JetBrains の料金ページで確認。

こんな会社に:開発部門で JetBrains のエディタを使っている会社

B. ターミナル型 ― 黒い画面で動く職人さん

「ターミナル」という、文字で命令する黒い画面で動く AI。主に開発者が使います。非エンジニアの方は「こういうものがある」と知っておけば十分です。

Claude Code(クロード コード)

Anthropic 社の AI。ターミナル型の代表格で、長い作業もこなします。最近はパソコン用のアプリからも使えます。

費用:会社向けの Claude Team(1人月25ドル、年払いで20ドル)に含まれる。無料の Claude には入っていない。

Codex(コーデックス)

ChatGPT を作っている OpenAI 社の AI。ChatGPT のアカウントで使えます。クラウドに仕事を預ける機能も、同じ契約に入っています。

費用:ChatGPT の有料プランに含まれる。会社では ChatGPT Business / Enterprise のアカウントで使う。

Gemini CLI(ジェミニ)

Google の AI。個人向けの無料枠は2026年6月に終わり、Google は後継の Antigravity も案内しています。

費用:会社では Gemini Code Assist(1人月20ドル前後から)か、API の従量課金。

Cursor CLI

Cursor の AI を、ターミナルから使えるようにしたもの。

費用:Cursor の契約と同じ。エディタと使用量の枠を分け合う。

C. アプリ生成型 ― ブラウザだけで、すぐ形になる

インストール不要。Web サイトを開いて「こんなアプリがほしい」と書くだけで、画面や仕組みを作り、そのまま公開までできます。

v0(ブイゼロ)

Vercel 社のサービス。画面のデザインづくりが得意です。

費用:無料で1日数回まで。チームは1人月30ドル。

Bolt.new(ボルト)

ブラウザの中で、アプリを作って動かせます。

費用:無料枠あり。有料は月25ドル前後から。大きいものほど早く枠を使う。

Lovable(ラバブル)

プログラミングをしない人向け。ログイン機能やデータの保存がある本格的なアプリも作れます。

費用:無料枠あり。有料は月25ドルから(クレジット制)。

Replit(レプリット)

ブラウザ上に開発環境があり、AI に頼んで作って、そのまま公開まで行えます。

費用:無料枠あり。有料は月20ドル(年払いで月18ドル)から。上位は月100ドル。

Google AI Studio

Google の AI を試せる場所。簡単なアプリの試作もできます。

費用:無料枠あり。組み込んで使うと従量課金。

Figma Make(フィグマ メイク)

デザインツール Figma の中で、デザインから動く試作品を作れます。

費用:Figma のプランに含まれる。回数や機能は有料プランの方が多い。

アプリ生成型は、作ったアプリや入力したデータがそのサービスのサーバー上に置かれます。ボタン1つで世界中に公開できてしまうものもあります。社内の情報を入れる前、公開する前には、必ず承認を取りましょう。お客さん向けの見本(画面のイメージ)づくりには向いています。

D. クラウド型エージェント ― 任せて、届くのを待つ

仕事を頼むと、インターネットの向こう側(クラウド)で AI が作業して、終わったら「できました、確認してください」と届けてくれます。主に開発部門向けです。

Cursor Cloud Agents

Cursor から仕事を投げて、クラウドで進めてもらえます。いくつも同時に頼めます。

費用:Cursor の契約に含まれ、同じ使用量の枠を使う。任せっぱなしにすると枠を早く使い切る。

GitHub Copilot cloud agent(旧 coding agent)

GitHub に「やることリスト」(Issue)を書いて AI に割り当てると、作業して提出してくれます。使う AI のモデルは、Auto(おまかせ)か、Claude・GPT・Gemini などから選べます。

費用:Copilot の契約に含まれる。良いモデルほど、月の枠を多く使う。

Codex(クラウド版)

ChatGPT の画面から、作業を頼んでおけます。

費用:ChatGPT の有料プランに含まれる。手元でやるより1回あたりの消費が大きい。

Jules(ジュールズ) / Devin(デヴィン)

Jules は Google、Devin は Cognition 社のもの。どちらも、頼んだ仕事を自分で進めてくれる「AI のエンジニア」をうたっています。

費用:どちらも無料枠あり。Devin の有料は月20ドルから。会社向けの条件は公式で確認。

届いたものは必ず人が確認します。届け方は多くの場合「PR(プルリクエスト)」という形で、「この変更を取り込んでいいですか?」というお伺いです。OK なら取り込み、ダメなら断るだけなので、元のものは壊れません。

E. AI レビュー ― 提出物をチェックしてくれる先生

作ったもの(主に PR)を AI が読んで、「ここ、間違ってない?」とコメントしてくれます。

Cursor Bugbot(バグボット)

変更の中のバグ(不具合)を見つけることに特化しています。

費用:Cursor の有料契約に含まれる(個人なら月30ドル以上のプラン)。

GitHub Copilot code review

GitHub 上で、人に頼むのと同じように AI をレビュー担当に指定できます。

費用:Copilot の契約に含まれる。

CodeRabbit(コードラビット)

変更の要約と、行ごとの細かいコメントをつけてくれます。

費用:有料。1人月24〜30ドルくらいから。

AI の先生も見落とします。人のチェックの代わりではなく、「もう一人の目」として使います。

F. ローカル AI ― 自分のパソコンだけで動く

AI を自分のパソコンや社内のサーバーの中で動かします。入力した情報が社外に出ていかないのが最大の特徴です。

Ollama(オラマ)

コマンド1つで、公開されている AI をダウンロードして動かせます。

費用:ソフトも AI も無料。かかるのは性能の良いパソコンと電気代。

LM Studio

画面の操作だけで、AI のダウンロードと実行ができます。

費用:アプリは無料。性能の良いパソコンが必要。会社で使う場合はライセンス条件を確認。

クラウドの最新 AI に比べると賢さは劣ります。ダウンロードする AI ごとに利用条件(商用利用してよいか)が違うので、会社で使うときは確認が必要です。

おまけ:AI に「道具」を持たせる MCP(エムシーピー)

A や B の AI に、ほかのサービスをつなげる仕組みです。スマホにアプリを追加するようなイメージです。

つなぐと、AI がそのサービスの中身を読んだり操作したりできるようになります。社内のデータが AI に渡ることになるので、つなぐ前に承認を取りましょう。

会社で道具を選ぶときの基準

「どれがいちばん賢いか」より、次の点で選ぶ方が失敗しません。全員が同じ道具を使うと、教え合いやルール作りが楽になります。

確認することなぜ大事か
入力したデータが学習に使われないか、どこに保存されるか情報漏えいを防ぐため
管理者が設定を強制できるか、誰が使っているか分かるか個人の設定ミスに頼らないため
会社のアカウントでログインできるか(SSO)退職者のアカウントを確実に止めるため
利用の上限額を設定できるか想定外の請求を防ぐため
今使っているサービスと相性がよいか例:GitHub を使っているなら Copilot、Google Workspace なら Gemini
提供会社の信頼性(セキュリティ認証、契約条件の変更)AI 業界は買収や名前の変更が多い。例:Windsurf は Devin Desktop に、Cursor は X のサブスクリプションの一部になった

5準備しよう

会社のパソコンにソフトを入れてよいかは、会社によって決まりがあります。情報システム部門の案内に従ってください。

1Cursor を入れて、会社のアカウントでログインする

  1. 会社の案内に従って Cursor をインストールする(自分で入れる場合は cursor.com の「Download」から)
  2. 起動したら、会社から案内されたアカウントでログインする(個人のアカウントや無料プランは使わない)
  3. 最初の設定画面は、基本的にそのまま「次へ」で OK

Cursor が起動して、空っぽの画面が表示される。

2Privacy Mode を確かめる

Ctrl + Shift + J(Mac は Cmd + Shift + J)で設定を開き、「General」の中の Privacy Mode がオンになっているか確認します。会社のチーム契約なら、最初からオンで、切り替えられないようになっているはずです。

Privacy Mode がオンになっている。オフになっていたら、作業を始める前に担当者に連絡する。

3Git を入れる

Windows の場合: 会社の案内に従うか、git-scm.com から「Download for Windows」でダウンロードしてインストール。途中の質問は、そのまま「Next」で大丈夫です。

Mac の場合: アプリの「ターミナル」を開いて git --version と打って Enter。入っていなければ「インストールしますか?」と出るので、「インストール」を押します。

ターミナルで git --version と打つと、git version 2.xx.x のように表示される。

4作業用のフォルダを作る

  1. 分かりやすい場所に、estimate-tool という名前のフォルダを作る(名前は半角英数字がおすすめ)
  2. Cursor のメニューから「File → Open Folder」(フォルダを開く)を選び、今作ったフォルダを開く

社内の共有フォルダや、顧客の資料が入っているフォルダは開かないでください。AI はフォルダの中のファイルを読むことがあります。

Cursor の左側に「ESTIMATE-TOOL」のようにフォルダ名が表示される。

5AI と話す画面を開く

Cursor の右側にある AI のパネルを使います。表示されていなければ、Ctrl + I(Mac は Cmd + I)で開きます。

パネルの下のほうに、モードを選ぶところがあります。

モードどんなとき
Agent(エージェント)作ってほしい・直してほしいとき。AI が実際にファイルを作ります
Ask(アスク)質問だけしたいとき。ファイルは変わりません
Plan(プラン)大きめのものを作る前に、作戦を立ててほしいとき

パネルに文字を打ち込める状態になっている。

ボタンの名前や場所は、Cursor のバージョンによって変わることがあります。

6やってみよう:見積もり計算ツールを作る

品名・単価・数量を入れると、小計・消費税・合計を出してくれるツールを作ります。ブラウザだけで動き、データはどこにも送りません。下の青い枠の文章を、そのまま AI に打ち込んでください。

練習では、実在の会社名・商品名・金額は使わず、架空のものを使います。

1まずセーブの準備をする

Agent モードで、こう打ち込みます。

このフォルダで Git を使えるようにして、最初のセーブ(コミット)をして。 何をしたか、初心者にも分かるように説明して。

AI がターミナルでコマンドを実行してよいか聞いてきたら、内容を見て「実行(Run)」を押します。

AI から「Git を初期化して、コミットしました」のような説明が返ってくる。

初回は Git に「名前とメールアドレス」の設定が必要なことがあります。会社のルールに従って設定してもらいましょう。

2ツールを作ってもらう

見積もりの計算ツールを作って。 ・ファイルは index.html、style.css、script.js の3つ ・品名、単価、数量を入力する行があり、ボタンで行を追加できる ・小計、消費税(10%)、合計を自動で表示する ・消費税の1円未満は切り捨てる ・入力したデータは、どこにも送信しない。外部のサービスやファイルも読み込まない ・スマホでも使える

AI がファイルを作ると、変更された部分が色付きで表示されます。「Keep(残す)」と「Undo(取り消す)」のようなボタンが出たら、中身を見てから「Keep」を押します。

左側のファイル一覧に index.html、style.css、script.js ができている。

3ブラウザで開いて、計算を確かめる

パソコンのフォルダ(エクスプローラーや Finder)で estimate-tool を開き、index.html をダブルクリックします。

ここがいちばん大事です。答えが分かっている数字を入れて、合っているか自分で確かめます。

入れる値正しい答え
単価 1,000 × 数量 3小計 3,000 / 消費税 300 / 合計 3,300
単価 333 × 数量 1小計 333 / 消費税 33(33.3 の切り捨て)/ 合計 366
上の2行を両方入れる小計 3,333 / 消費税 333 / 合計 3,666
数量を空にする、マイナスを入れるおかしな表示にならないか(どうなるべきかは自分で決める)

すべての答えが合っている。違っていたら、見たままを AI に伝えて直してもらう。

端数の処理(切り捨て・四捨五入)や、税を行ごとに計算するか合計で計算するかは、業務のルールです。AI に任せず、人が決めて伝えます。上の例は「合計してから税を計算し、切り捨て」です。

4直してもらう(1回に1つずつ)

気になるところを、1つずつお願いします。

合計の金額をもっと大きく表示して。ほかは変えないで。

直ったらブラウザを再読み込み(F5 / Mac は Cmd + R)して確かめます。

数量にマイナスや文字が入ったら、その行の下に赤い字で「1以上の数字を入れてください」と出して。

お願いしたところだけが変わっていて、手順3の計算も、まだ合っている。

5差分を見る・AI に説明させる

Cursor の左側にある「ソース管理」(枝分かれしたようなアイコン)を開くと、前回のセーブから変わったファイルが並びます。ファイル名を押すと、変更前と変更後が並んで表示されます(緑が追加、赤が削除)。

全部を理解できなくても大丈夫です。「お願いしていないファイルが変わっていないか」だけは見ましょう。そして、Ask モードでこう聞きます。

このツールは、入力したデータをどこかに送信したり、外部のサービスやファイルを読み込んだりしていますか? 該当する場所があれば、ファイル名と行を教えて。

「送信も外部の読み込みもしていない」と説明され、その根拠となる場所を示してもらえる。

6セーブする(コミット)

うまくいったら、セーブします。方法は2つあります。

ボタンでやる: ソース管理の画面で、上の入力欄に「入力チェックを追加」のようにメモを書いて、「Commit(コミット)」ボタンを押す。

AI に頼む:

今の状態をコミットして。メッセージは「入力チェックを追加」で。

ソース管理の画面から、変更ファイルの一覧が消える(全部セーブされた)。

7わざと失敗して、元に戻してみる

大事な練習です。わざとあいまいなお願いをしてみましょう。

いい感じにして

思ってもいない変更がたくさん入るはずです。気に入らなければ、元に戻します。

ボタンで戻す: ソース管理の画面で、変わったファイルの横にある「変更を破棄(Discard Changes)」の矢印ボタンを押します。

AI に頼む場合は、いきなり実行させずに、先に何をするか聞きます。

最後にコミットした状態に戻したい。まだ実行しないで。 どんなコマンドを使うか、消えてしまうファイルがあるかを先に教えて。

ブラウザを再読み込みすると、さっきセーブしたときの状態に戻っていて、計算も合っている。

AI に「元に戻して」とだけ頼むと、セーブしていない別のファイルまで消してしまうことがあります。消す・戻す操作は、何が起きるか確かめてから実行します。

7上手なお願いのしかた

AI は、あなたの会社や業務のことを知りません。「新しく来た派遣社員さんに、メモで仕事を頼む」つもりで書くとうまくいきます。

お願いの「型」

迷ったら、この4つを埋めてください。

項目書くこと例
なにを作るもの・直すもの値引きの入力欄を追加して
どこに場所・ファイル小計のすぐ下に
どんなふうに見た目・業務のルール金額で入力し、消費税は値引き後の金額にかける
どこまで変えてはいけないところほかの計算は変えないで

よくある失敗と、こう直す

あいまい

「いい感じにして」

具体的

「合計の文字を太くして、上下の余白を広げて」

一度にたくさん

「値引きと送料と PDF 出力をつけて、デザインも変えて」

1つずつ

「まず値引きだけ追加して」→ 確かめてセーブ → 次をお願い

ルールを AI に任せる

「税の計算もよしなにやって」

ルールは人が決める

「税は合計してから10%、1円未満は切り捨て」

症状だけ

「動かない」

状況を伝える

「行を追加ボタンを押しても何も起きない。そのとき出たエラーはこれ:(エラーの文章を貼る)」

本物のデータで説明

顧客リストをそのまま貼って「これを整形して」

形だけ伝える

「列は、会社名・担当者名・電話番号。架空のデータを3行作って、それで試して」

覚えておくと便利なひとこと

こんなときこう言う
勝手に変えられたくない「〇〇以外は変えないで」
先に作戦を聞きたい「まだ作らないで。どうやって作るか、先に教えて」
中身を知りたい「このコードを、初心者向けに説明して」
選択肢がほしい「やり方を3つ出して、それぞれの良いところと悪いところを教えて」
ちゃんと確かめてほしい「終わったら、どう確かめたかも教えて」
ダミーデータがほしい「架空の会社名と金額で、テスト用のデータを10行作って」
話がこじれてきた新しいチャットを開いて「今こういう状態。次にこれをしたい」と伝え直す

8困ったときは

クリックすると答えが開きます。

エラーが出た。英語で読めない

読めなくて大丈夫です。エラーの文章を全部コピーして、AI にこう伝えます。ただし、パスワードや社内のサーバー名などが含まれていないかは先に確認します。

このエラーが出た。何が起きているか初心者向けに説明して、直して。 (エラーの文章を貼る)
画面が真っ白になった/表示がめちゃくちゃになった

直前のお願いが原因のことが多いです。6章の手順7と同じ方法で、最後にセーブした状態に戻しましょう。戻ったら、さっきのお願いをもっと小さく、具体的にして頼み直します。

AI が同じ失敗を何度もくり返す

3回直してもダメなら、いったん止まりましょう。

  1. 最後にセーブした状態に戻す
  2. 新しいチャットを開く(右上の「+」など)
  3. 「今こういう状態で、こうしたい。前にこういうやり方で失敗した」と伝え直す

会話が長くなりすぎると、AI は最初のほうの話を忘れがちです。仕切り直すと、あっさり解決することがよくあります。

お願いしていないところまで変わった

「Undo(取り消す)」を押すか、「〇〇の変更だけ元に戻して」と頼みます。次からは「〇〇以外は変えないで」と書き添えましょう。

AI は「できました」と言うのに、できていない/計算が合わない

よくあることです。AI の「できました」は信じすぎないのがコツ。必ず答えの分かっている数字で確かめて、違っていれば「単価333、数量1で、消費税が34になる。33になるはず」のように、見たままを伝えます。

直したのに、ブラウザの表示が変わらない
  • ファイルが保存されているか確認(Cursor のタブに ● が付いていたら未保存。Ctrl + S / Cmd + S で保存)
  • ブラウザを強制再読み込み(Ctrl + Shift + R / Mac は Cmd + Shift + R)
  • 別のフォルダの index.html を開いていないか確認
AI が「このコマンドを実行していいですか?」と聞いてくる。押していいの?

何をするコマンドか分からなければ、押す前に「このコマンドは何をするの?」と聞きましょう。特に rm(削除)、reset・clean(変更を消す)、sudo(管理者権限)、--force(強制)、install(何かを入れる)が含まれていたら要注意です。会社のパソコンに勝手にソフトを入れることになる場合もあります。

うっかり、入れてはいけない情報を AI に入れてしまった

隠さずに、すぐ2章の連絡先に報告してください。パスワードや API キーなら、すぐに変更します。早く報告するほど、被害を小さくできます。

9人に渡す前のチェック

自分だけで使うなら、ここまでで OK です。チームの人に使ってもらう、社外に出すとなると、確認することが増えます。

使う人必要なこと
自分だけ計算や内容が正しいか、自分で確かめる。AI にセキュリティの確認をさせる(下の方法)
チーム・部署上に加えて:ほかの人にも確かめてもらう。使い方と注意点を書いておく。誰が直すか決める
社外・お客さん
個人情報・お金・ログインを扱うもの
上に加えて:AI の確認結果を添えて、開発担当や情報システム部門の確認と承認を取る。必要なら専門の会社の診断(脆弱性診断)を受ける。自分の判断でインターネットに公開しない

セキュリティの確認に AI を使う

セキュリティの確認も、AI にかなりの部分を手伝ってもらえます。ただし、AI の確認は「最初のふるい分け」です。AI が「問題ありません」と言っても、安全が保証されたわけではありません。

方法1:AI エディタで、確認だけを頼む

追加の費用はかかりません。コツは3つです。

あなたはセキュリティの専門家です。このフォルダのコードを、セキュリティの観点で確認して。まだ何も直さないで。 ・パスワード、API キー、個人情報が、コードやファイルに書かれていないか ・入力した内容が、外部に送信されていないか。外部のファイルやサービスを読み込んでいないか ・入力欄に、プログラムのような文字を入れたときに悪さができないか ・ログインがある場合、他人のデータが見えたり変えられたりしないか ・使っている部品(ライブラリ)に、古いものや存在しないものがないか 見つかった問題は「危険度(高・中・低)」「ファイル名と行」「何が起きるか」「どう直すか」を表にして。 確信が持てないものは、そう書いて。

指摘が出たら、1つずつ「この問題を直して。ほかは変えないで」と頼み、直ったら同じ確認をもう一度させます。

方法2:セキュリティ確認用の機能・ツールを使う

主に開発担当が用意するものです。会社で使えるものがないか、担当者に聞いてみてください。

ツール何をしてくれるか
Claude Code の /security-reviewコマンド1つで、変更内容をセキュリティの観点で確認してくれる
Cursor Bugbot / GitHub Copilot code review / CodeRabbitPR(変更の提案)を出すたびに、AI が自動で読んで危ないところにコメントする(4章 E)
GitHub のコードスキャン(CodeQL)と Copilot Autofixよく知られた危ない書き方を機械的に見つけ、AI が直し方を提案する
GitHub のシークレットスキャンパスワードや API キーがファイルに書かれていたら知らせる
Dependabot など使っている部品に、見つかっている弱点がないか調べて、更新を提案する

AI の確認と、ルールに沿って機械的に調べるツールは、得意なことが違います。組み合わせると見落としが減ります。料金や使える条件は契約によって違うので、担当者に確認してください。

AI に任せきれないところ

チェックリスト

Netlify などのサービスを使うと、作ったものを数分でインターネットに公開できてしまいます。便利ですが、会社の承認なしに公開すると情報漏えいや信用問題につながります。公開の手順は、承認を取ってから担当者と一緒に行いましょう。

10長く使える・使い回せる道具にするコツ

AI を使うと、道具は簡単に作れます。そのぶん、「作った人しか分からない道具」や「似たような道具がいくつもある」状態にもなりがちです。次のコツを守ると、半年後の自分やほかの人が、AI を使って直したり使い回したりしやすくなります。

1. 最初に「説明書」を書く

道具と同じフォルダに README.md という説明書を置きます。人が読むのはもちろん、次に AI に頼むときも、AI がこれを読んで事情を理解してくれます。自分で書かなくても、AI に下書きさせて直せば十分です。

このツールの説明書を README.md として作って。次の項目で、短く書いて。 ・何のための道具か、誰が使うか ・使い方 ・計算のルール(税率、端数の処理など) ・この道具でやらないこと、使ってはいけないデータ ・作った人、問い合わせ先、最後に確認した日

2. 変わりそうな値は1か所にまとめる

税率、端数の処理、会社名、部署名、項目の名前などは、いつか変わります。プログラムのあちこちに書かれていると、直し漏れが起きます。設定として1か所にまとめてもらうと、変わったときにそこだけ直せばよくなり、ほかの部署が使うときも設定を変えるだけで済みます。

税率、端数の処理のしかた、画面に出す会社名を、ファイルの先頭の「設定」の部分にまとめて。 設定を変えるだけで動きが変わるようにして。ほかの動きは変えないで。

3. 確かめた内容を「テスト」として残す

6章で確かめた計算の例(1,000円 × 3 = 3,300円 など)は、毎回手で入れ直すのは大変です。AI に自動で確かめるページを作ってもらうと、直すたびにボタン1つで、前に動いていたものが壊れていないか確認できます。

次の計算の例を、自動で確認するページ test.html にして。 ・単価1000、数量3 → 小計3000、消費税300、合計3300 ・単価333、数量1 → 小計333、消費税33、合計366 ・上の2行を両方 → 小計3333、消費税333、合計3666 開くと、それぞれの例が「OK」か「NG」かを一覧で表示して。 これからツールを直したら、このページも開いて確認するので、テストが通ることを確かめてから終わって。

新しい計算のルールを加えたら、その例もテストに足してもらいます。テストがあると、AI に直してもらうときの安心感が大きく変わります。

4. AI への「約束ごと」をファイルに書いておく

毎回言っていることは、AGENTS.md というファイルに書いておきます。多くの AI ツールが、作業の前にこのファイルを読んでくれます。人が替わっても、AI が同じ約束で作業を続けられます。

このフォルダに AGENTS.md を作って、次の約束を書いて。 ・入力したデータを外部に送信しない。外部のサービスやファイルを読み込まない ・税率などの設定は、ファイル先頭の設定部分だけにまとめる ・新しい部品(ライブラリ)は、相談なしに追加しない ・直したら test.html のテストが通ることを確かめる ・説明やコメントは日本語で書く

5. 部品を増やさない、1つの道具は1つの仕事

6. 使い回すのは「2回目に必要になったとき」

最初から「どの部署でも使えるように」と作り込むと、複雑になって誰も直せなくなります。まずは自分の業務に合うものを作り、別の部署から「うちも使いたい」と言われたときに、違うところを設定で変えられるように直してもらうのが、ちょうどよい進め方です。

このツールを、営業部以外でも使えるようにしたい。 部署によって違うのは「会社名の表示」と「税の端数の処理」だけ。そこを設定で切り替えられるようにして。ほかは変えないで。

7. 置き場所と履歴を会社で管理する

AI に「直しやすさ」を確認させる

セキュリティと同じように、直しやすさも AI に確認させられます。

このツールを、半年後に別の人が AI を使って直すとします。まだ何も直さないで。 分かりにくいところ、直すときに壊れやすいところ、設定にまとめた方がよい値、説明書に足りないことを指摘して。

11やってはいけない7つのこと

1個人のアカウントや無料版の AI を仕事に使わない

入力した内容が学習に使われることがあり、会社が管理できません。会社が契約したアカウントだけを使います。

2個人情報・顧客の情報・社外秘を AI に入れない

練習も試作も、ダミーデータで行います。お客さんから預かった資料は、契約で禁止されていることが多いです。

3パスワードや API キーを AI に貼らない

チャットに貼った時点で、外のサーバーに送られています。うっかり貼ってしまったら、すぐに変更して報告します。

4セーブせずに大きなお願いをしない

AI はときどき、たくさんのファイルを一気に書き換えます。「お願いする前にセーブ」を習慣にしましょう。

5動いている本番のシステムを AI に触らせない

お客さんや社員が使っているシステムは、練習用のコピーで試して、担当者の確認を経てから反映します。

6確かめないまま人に渡さない

9章のチェックを通してから渡します。お金、個人の情報、ログイン、外部への送信がある部分は、動作の確認だけでは足りません。セキュリティを判断できる人にも確認してもらいます。

7承認なしに社外に公開しない

インターネットに公開する、お客さんに渡す、ほかのサービスとつなぐ(MCP など)ときは、必ず承認を取ります。

12会社として導入を進めるには(担当者向け)

社員に使ってもらう前に、会社として決めておくことがあります。いきなり全員に配るより、小さく試してから広げる方が失敗しません。

導入の手順(例)

  1. 目的を決める:何の作業を、どれくらい楽にしたいか(例:見積もりや集計の手作業を減らす)
  2. ルールを決める:使ってよい道具、入れてよい情報の区分、承認の流れ、報告の窓口(2章の記入欄)
  3. 道具を選んで会社で契約する:4章の「選ぶときの基準」で比べる。学習に使わせない設定、利用の上限額を管理画面で設定する
  4. 小さく試す:数人・1〜3か月で試し、困ったことやルールの穴を集める
  5. 教育する:この資料のように、ルールと使い方をセットで教える
  6. 効果を測って広げる:使う前と後で、作業時間やミスの数を記録して比べる

費用の見積もり方

基本は「人数 × 1人あたりの月額」に、使いすぎたときの追加料金を足します。

例月額年額(1ドル150円で計算)
10人 × GitHub Copilot Business(19ドル)190ドル約34万円
10人 × Cursor Teams(30ドル)300ドル約54万円
10人 × Claude Team(年払い20ドル)200ドル約36万円

ほかに、教育の時間、ルールを作る時間、作られたツールを確認・保守する人の時間がかかります。ライセンス代より、こちらの方が大きくなることもあります。

よくある落とし穴

参考になる公的な資料

法律や契約の判断は、社内の法務担当や専門家に確認してください。

13まとめと次のステップ

ポイントのまとめ

次に挑戦すること

  1. 自分の業務で試す:毎週手作業でやっている計算や整形を、1つ道具にしてみる(データはダミーで)
  2. 6章のツールを仕上げる:10章のコツに沿って、説明書・設定・テスト・AGENTS.md を足してみる
  3. チームで共有する:うまくいったお願いの文章や、失敗した例を社内で共有する
開発担当者向け:中級編 → ツールの種類と比較、環境構築、開発スタイルのメリット・デメリット、よくある問題と対策

ツールの画面、ボタンの名前、料金、規約は頻繁に変わります。この資料は2026年10月時点の情報です。使う前に、各公式サイトで最新の情報を確認してください。